Lady Mari

ウェストハイランドホワイトテリア

お留守番苦手

ある時、用事がありマリを預けようとしたことがありました。ペットホテルの看板を見つけ連れて行くと、ウェスティは預かれないと断られました。

理由は捨てられたと勘違いして寂しかるからだそう。

たしかに、家からちょっと庭に出て戻ってきただけでも、耳を倒し、しっぽをふりふり大歓迎ですり寄って来ます。

子犬の頃は、トイレにも一緒についてくる有様でした。

そんなわけで、季節の良い時はなるべく車で一緒に連れて行きました。

しかし日本では犬を連れて入れる場所は限られている為、車で待たせなければなりません。家族が車から降りると自分も必死で追いかけようとしますが、待っていてね、と声をかけドアを閉めるのですが、かわいそうになります。

家族が見えなくなるまで目で追っていてよほど一人になるのが苦手なようです。

 

そんなある日、車でいつものように待たせようとした時、家族が車から降りても動じません。にこやかな表情をしているので、慣れたのかなと思い安心して車から離れました。用事がすんで、車に戻ると、いつもならすぐに気付いて喜んで立ち上がり窓からしっぽを振るのに寝そべっているようです。

必ず私たちが戻ってくることが分かったから車の中でも待てるようになったんだと思っていました。

ところが車に乗り込むと、お菓子の箱が座席下に落ちており、個包装の紙だけが散乱しています。

お菓子はワッフルだったのですが、器用に箱を開けて中身だけ食べたようです。

紙に付いたクリームなども綺麗に舐めた様子です。

マリのお腹はまるで獲物を丸呑みした蛇のようにポッコリと膨らんでいます。

マリはしたり顔で私達を出迎え、うれしそうにしています。

過去のことは叱ってはいけないとしつけの本にあった為、その場はただあきれ顔で驚く私達でしたが、一度に大量に甘いものを食べてしまったので大丈夫かと心配になりました。

犬に害のあるチョコレートなどは幸い入っていなかったのですが、翌日に大量に排泄し、お腹の調子も悪いようで数日大人しくしていました。

 

この時は、大事に至らず済んだのですが、犬が人間のように箱をあけたりするなんて想像もしていませんでした。犬は思っていた以上に色々出来るのだと知りました。

これ以降、食べ物や危ない物は犬がいたずらしないところに置くなど管理に気を付けるようにしました。

 

あのにんまりした顔からすると、きっと甘い香りからお菓子があることを嗅ぎ付け、もし車に居残ることがあったらと、密かに犯行の計画を練っていたのでしょう。

私達が車から降りた時、しめしめチャンスと思ったのかなと思うと笑えます。

 

あのしたり顔はいつまでも印象深い思い出として記憶に残っています。